|
受賞者 |
受賞理由 |
作家賞 |
今 道子
(こん みちこ)
|
神奈川県立近代美術館鎌倉別館で2021年に開催された「フィリア-今道子」展は、初期の代表作から近作を含む約100点を展示した。食材や日常的なものを素材に組み合わせ、オブジェとして制作した作品は、見る者に強烈なインパクトを与える。その創造性豊かで際立つ唯一無二の個性に対して。 |
新人賞 |
田川基成
(たがわ もとなり) |
写真集・写真展「見果てぬ海」は、大航海時代にポルトガル人やスペイン人がキリスト教を伝えた記録から、隠れキリシタンの歴史を掘り起こし、長崎の風景・豊かな海・人々・催事・日常の断片を歴史・宗教・風俗など様々な視点で捉えており、単なる一地方の記録に収まらない。そのスケールの大きな作品に対して。 |
国際賞 |
太田菜穂子
(おおた なおこ)
|
東京とパリを拠点にKlee Inc.を主催し、独特な切り口で写真展を企画運営し、写真を通して国際文化交流を行っている。特に2011年、NPO東京画を立ち上げ、18年パリ・19年ベルリンで国際交流写真展、20年「東京好奇心
2020 渋谷」を成功させた。これら多年の功績に対して。 |
榮榮&映里
(ろんろん
あんど いんり) |
2007年、北京の草場地に中国最初の総合的な写真芸術センターとして、「三影堂撮影芸術中心」を設立し、中国における写真の地位向上に寄与するとともに、アルル国際写真祭と提携した写真祭を立ち上げ、日本の写真家の作品を紹介する等、日中を往来しながら欧米とアジアの写真界を繋ぐハブとして貢献している功績に対して。
|
功労賞 |
土田ヒロミ
(つちだ ひろみ) |
「自閉空間」から今日までの作家活動を通じて、常に自身の作品を大きく上書きしながら進化し、現在進行形の出来事として世界や社会を捉え、表現方法を先鋭化させ、土田ヒロミという写真家像を更新し続けている。その若々しい活力と並々ならぬ写真への行動力に対して。 |
株式会社便利堂
(かぶしきがいしゃ べんりどう) |
(株)便利堂は、創業135年を誇る京都の老舗美術印刷・出版会社であると同時に、美術品・文化財の撮影、フィルム・ガラス乾板のデジタルデータ化を行う会社である。文化財としての写真保存(フォトアーカイブ)では、欧米各国に遅れをとる我が国にあって、文化財保存に独自のアプローチで取り組んでいる功績に対して。 |
学芸賞 |
甲斐義明
(かい よしあき) |
著書『ありのままのイメージ
スナップ美学と日本写真史』において、日本におけるスナップショットの時代変遷を数多の写真家の業績を通じて論じ、スナップショットの歴史性の中にイメージの本質と人間の営みがどう関わっているかを考察した。この労作に対して。
|
長島有里枝
(ながしま ゆりえ) |
著書『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』は、1990年代の若い女性写真家に注目した論評に対峙し、作品を「第三波フェミニズム」の観点で捉え直した。同時に、写真評論の在り方及びこれまでの日本の女性写真家の位置付けに再考を促し、日本写真史に大きく貢献した功績に対して。 |